生物多様性とビジネス
企業活動においての原料調達や生産工程に大きく影響を及ぼすこととなってきた生物多様性の重要性に気付いている企業は決して多くありません。2010年名古屋で開催される国際生物多様性条約会議は自然保護だけでなく私たちの生活に大きく影響を与える自然資源、遺伝資源などを経済的に持続可能に利用していくための様々な国際的な取り組みが議論されます。

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経済活動と生物多様性の保全~責任を持つということ(5'04'')

生物多様性を考える企業連携組織/JBIBがアファンの森を訪れました

著作者:Green.TV Japan

アースキーパー

企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)
JBIBは、2008年4月に発足した生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まり。国際的な視点から生物多様性の保全に関する共同研究を実施し、その成果を元に他の企業やステークホルダーとの対話を図り、真に生物多様性の保全に貢献する活動を展開する。
http://www.jbib.org/

経済活動と生物多様性の保全

2009.08.30

経済活動と生物多様性の保全を考えるきっかけとして、企業活動と生物多様の関係性について、株式会社レスポンスアビリティが発行するCSR情報のメルマガ'サステナブルCSRレター'に掲載された、JBIB事務局長 足立直樹氏の原稿文章を、下記に引用させて頂きました。

こんにちは、レスポンスアビリティ(RAI)の足立直樹です。
生物多様性オフセットに関わる取り組みをしている企業の多くは採掘系、つまり石油や天然ガス、あるいは金属などを地面や水中から掘り起こしている産業に属しています。たしかにそういう産業であれば、生態系に大きな影響を与えていることは明白です。

しかし実は、採掘系以外の産業でも生物多様性オフセットを行う企業があります。代表的なのは、ウォルマート。そう世界最大のスーパーマーケット・チェーンです。ウォルマートはアメリカ国内で米国魚類野生生物財団(The National Fish and Wildlife Foundation)と提携して、自社の店舗等が使用するのと同じ面積の危機的な生息域を保全することを2005年に決定しました。「1エーカー使ったら1エーカーを守る」を合い言葉に、10年間で3500万ドル(約35億円)を投資することを約束して始めたのですが、最初の3年で既に39万5千エーカーを保全し、当初の予定面積の3倍となっています。

同じスーパーマーケットでも、イギリスの高級スーパーマーケット・チェーンのマークス&スペンサーは、生物多様性という言葉こそ使わないものの、持続可能な原材料調達を環境方針の柱の一つにしており、生態系に悪影響を与えない、持続可能な原料で作られた製品を提供することにこだわっています。例えば魚について言えば、現在もMSCの漁業認証を有する魚を優先的に扱っていますが、2012年までにはMSCか同等の認証を受けた魚だけを扱うとしています。レジで使うレシートは、すべてFSCの森林認証紙に切り替えています。

あるいは同じくイギリスに本社を持つグローバル銀行のHSBCは、森林や淡水インフラ、エネルギーなどの大規模プロジェクトに融資する際に、セクター別ガイドラインとポリシーを整備し、生態系に著しく影響を与えるような事業には融資を行わないということで、生物多様性の保全に貢献しています。

もちろん産業によって、事業内容によって、関係性の大小はあります。しかし、化石エネルギーや鉱物資源、紙や木材などに一切依存しない産業はないでしょうし、綺麗な水や空気(これも生態系が浄化・安定化させています)を必要としない人もいないでしょう。

そう考えると、すべての産業、すべての企業は、なんらかの形で生物多様性の恩恵を受けており、また影響も与えています。だからこそ、その影響が大きい企業はもちろん、それほど影響が大きくない企業でも、このことを認識した企業は動き始めているのです。

もちろんその際には、自社との関係性をきちんと分析して、リスクを管理して、チャンスをうまく伸ばす方向に関わることが戦略的です。そのための方法論も既に開発されています。すべての産業、すべての企業に共通の万能薬、一般解があるわけではありませんが、手掛かりは既に用意されています。やれば進むことはもうわかっているのです。

経済メカニズムを利用して、こうした企業の取り組みを加速させ、生物多様性の保全に取り組む企業が経済的にもメリットを享受し、取り組まない企業は不利になる。そういう仕組み作りが既に始まっています。

サステナブルCSRレター
2009/07/07 (No. 060)
http://archive.mag2.com/0000226055/index.html
《巻頭言》「企業と生物多様性(2)企業活動との関係性」より

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シンクマイライフ

経済活動も人の命も、豊かな自然環境と生物多様性に支えられていることをもう一度考え直すべきでしょう。それぞれの企業が、経済活動と結びついた生物多様性保全を進める事が、経済と環境との両立にもつながり、何よりそれが企業に課せられた義務であると思うのです。

筆者

足立直樹(あだち・なおき)

サステナビリティ・プランナー

東京大学理学部、同大学院で生態学を学び、理学博士号を取得。1995年から2002年までは国立環境研究所で熱帯林の研究に従事。1999年から3年間のマレーシア森林研究所(FRIM)勤務の後、コンサルタントとして独立。
JBIB事務局長、環境経営学会 理事、国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン 理事、サステナビリティ日本フォーラム(旧GRI日本フォーラム)運営委員等も兼務。

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