生物多様性とビジネス
企業活動においての原料調達や生産工程に大きく影響を及ぼすこととなってきた生物多様性の重要性に気付いている企業は決して多くありません。2010年名古屋で開催される国際生物多様性条約会議は自然保護だけでなく私たちの生活に大きく影響を与える自然資源、遺伝資源などを経済的に持続可能に利用していくための様々な国際的な取り組みが議論されます。

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ムービータイトル

生き物にやさしい未来へ(4'21'')

「自然と社会の共存」を推進する日本生態系協会からのメッセージ

著作者:green.tv japan/中日本制作所

アースキーパー

日本生態系協会
日本生態系協会(ECO-JAPAN)は、1992年に全国各地で活動している環境保護団体の結束のもとに設立されました。国内外の諸団体との交流をすすめ、自然と調和した国土利用に関する提言活動、調査・研究、普及啓発などを行うことによって、より豊かな自然を将来世代に手渡すことができる社会づくりに貢献している。http://www.ecosys.or.jp/eco-japan/

生き物にやさしい未来へ

2009.08.30

2002年に開催された生物多様性条約第6回締約国会議では、2010年までに、生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標が採択されています。これを人や企業などの行動に当てはめてみると、それぞれの活動において生物多様性の量と質を減らさない-すなわちノー・ネット・ロスの行動が求められることとなります。

不動産開発については、米国のように湿地や絶滅危惧種の生息地などについて、ノー・ネット・ロスの規制を定めている国もあります。日本には未だそのような法律はありませんが、ノー・ネット・ロスを守るような企業行動は、将来の規制強化などに関するリスクを回避し、その事業者のイメージを向上させ、さらに、そこに住む(働く)人々の快適性(創造性)を高めるというように、長期的な観点から不動産価値を向上させることにもつながると考えられます。

それでは、ノー・ネット・ロスを実現するための尺度はあるのでしょうか。その答えがHEP(ハビタット評価手続き)にあります。HEPとは、評価の対象となる場所について、本来生息するはずの生き物にとっての暮らしやすさ(質)を評点し、そこに面積(量)を掛け、さらに時間(回復や損失の推移)も考慮して生物多様性の豊かさを測るものです。もともと米国で開発され、環境アセスメントなどに利用されていますが、日本では(財)日本生態系協会が「JHEP認証シリーズ」を開発しています。この尺度を用いれば、例えば長年倉庫として利用し緑も無かったところに生物多様性の回復をもたらす、あるいは緑豊かな土地を開発せざるを得ないときに、生物多様性の損失を最小化し、それでも損失となる部分を他の開発で回復させる-というようにして、ノー・ネット・ロスに向けた取り組みを明らかにすることができます。

このような尺度を利用し、ノー・ネット・ロス実現に向けたプロジェクトを次々と登場させること、そしてこのような尺度と不動産価値との関係を明らかにすることが必要です。住友信託銀行は(財)日本生態系協会と共同で、JHEPと不動産価値の関係を研究しており、これを具体的なプロジェクトの中で実証していきたいと考えています。

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シンクマイライフ

自然を取り戻すことは、単なる緑化を行うことではないのです。豊かな木々や草花を生息する環境を取り戻すことは重要ですが、本当の自然を取り戻す事とは、それら植物の育成や生態系のつながりを持つ生き物たちが戻って来るための環境を作り上げることなのです。

筆者

伊藤 雅人

住友信託銀行不動産総合コンサルティング部鑑定・CSR担当次長

2005年東京都不動産鑑定士協会十周年記念論文『不動産に関する「環境付加価値」の検討』
にて、最優秀賞を受賞。
社団法人日本不動産鑑定協会 調査研究委員会 環境付加価値ワーキンググループ座長
CASBEE不動産評価 ワーキンググループ幹事
国連環境計画金融イニシアティブ不動産ワーキンググループ(UNEPFI PWG)メンバー
不動産における「環境」の価値を考える研究会委員
などを兼任

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