生物多様性
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各種研究データや各国政府の動向、企業やNPO・NGOの取り組み、日本の地域の情報まで、生物多様性に関する世界中のニュースをピックアップしてお届けします。 ~2010年は 国際生物多様性年~

Guardian Report 生物多様性と経済~Pavan Sukhdev(パバン・スクデブ)氏に対する質問への回答レポート

2010.06.22

Pavan Sukhdev
(パバン・スクデブ)
TEEB研究リーダー

ここ数年、私は「生物多様性」について話すときの人々のいぶかしげな顔を見慣れてきました。「生物多様性の経済価値」について口にすれば、信じられないという反応から理解不能といった反応まで様々な反応がありました。
ところが、2010年5月22日のGuardianの生物多様性に関する記事http://www.guardian.co.uk/environment/2010/may/21/un-biodiversity-economic-report
に対し、1000件以上ものTweetsやFacebookへのリンク、コメントがあったと聞いたときは、正直非常にうれしい驚きでした。250件を超える質問やコメントの中から、最も多かった2つの質問について以下の通り回答します。
まずはその前に、「生物多様性」という言葉の意味について明確にしておきましょう。

一般的な専門用語としての「生物多様性」は、しばしば'生き物の多様性'として理解されており、一方、「生態系」は広域的に生息地のカテゴリー(熱帯林、マングローブ、サンゴ礁など)とされています。しかし、国連の生物多様性条約では、生物多様性の定義を3つのレベルで表しています-生態系、種、遺伝子-。さらに、生態学者と経済学者が共に、これらの3つのレベルについて「量的」な側面の重要性を指摘しています。
生態系はその広がりとカテゴリーによって認識され、種はその豊富さと多様性という観点から表現され、遺伝子はその個体群(集団)と可変性から有益であるとされています。これらすべてが「生物多様性」-要するに、この惑星の生きた構成要素なのです。


"なぜ温暖化防止と生物多様性の保全は両立できないのか?"

生物多様性の損失(切り払われた熱帯雨林、転換されたマングローブ、失われたサンゴ礁など)は、温室効果ガスの排出をもたらします。逆に、植林や海洋生態系の復元は二酸化炭素を固定し、気候変動のリスクを軽減します。また気候変動は、生態系を不安定にし、脆弱な種を絶滅の危機に追いやります。生物多様性の保全と気候変動の防止には多様なつながりがあり、一方を達成するための行動が、通常もう一方の助けになります。
そうは言っても、気候変動の緩和と生物多様性保護の間にある対立の可能性については考慮する必要があります。たとえば、多様性のある草原を炭素を吸収する外来の樹種で大規模植林によって置き換えたり、熱帯泥炭湿地をバイオ燃料生産のためのパーム油植林地に転換したりする例が挙げられます。

これは、気候と生物多様性の研究及び政策決定の大きな焦点となります。現在、国連気候変動枠組み条約をはじめ多くの人々が「REDDプラス」と呼ばれる国際的な金融メカニズムの作成に取り組んでいます。このREDDプラスとは、森林伐採や森林劣化による排出量の削減に取り組むと同時に植林、保全、森林の持続的な管理に取り組む発展途上国を奨励するというものです。

森林が伐採により木材を産出することよりも、森林が存在していることによる価値を見出すことによって、重要な生態系の損失からの回復を目指すのです。そうすることによって、生物多様性の保全と気候緩和の両方に報いるプラットホームもしくはモデルを形成することができます。国連生物多様性条約は、国家の政策決定者にこうした問題を総体的に捉え取り組んでいくように促しています。


"温暖化や生物多様性の損失の解決は発展途上国の発展しようとするニーズと対立することにならないか?"

10億人を超える世界の貧しい人々は、自然の産物や生態系サービス(洪水防御や森林の干ばつ調整機能など)に依存しています。森林は、栄養循環、自給自足農業のために不可欠な淡水制御、料理のための薪、家畜のための飼料、建材、果物や換金作物を提供してくれます。こうした恩恵は、通常無償で提供されます。ブラジル、インド、インドネシアについてTEEBが実施した見積もりによると、貧しい人々にとってのこうした生態系サービスの相対的重要性は非常に高く、40%から80%の世帯収入を構成しています。こうした供給を置き換えることは決して容易な挑戦ではなく、実際ほとんどの大規模な森林破壊は貧しい地域の人々にではなく商業的関心に利益をもたらします。また、スターンレビューでも示されていた通り、気候変動の脅威に対する世界中の貧しい人々の脆弱性は、非常に高いと言えます。したがって、気候変動や生態学的な損失は、発展途上国の発展にとっても重大なリスクとなるのです。

また、急速に発展している国々では、'グリーンエコノミー'のモデルが発達しており、気候変動を向き合う世界において優位な競争力をもたらすかもしれません。ブラジルのクリチバは'持続可能な都市'のモデルであり、中国のソーラーヒーターは4千万世帯に熱を供給します。また、インドでは地方の貧しい人々による森林再生や水耕農業に補助金を出したり、ウガンダでは有機農業の成功事例が紹介されています。さらに、太陽光発電照明の最適なモデルがバングラディッシュの村落で確認されています。
地球温暖化や生物多様性の損失に取り組むことは、発展の阻害というよりは発展のためのソリューションにつながると、私は確信しています。

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