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豊かな海を取り戻せ!鉄の不思議な力(6'05'')
鉄が豊かな海の環境を取り戻す不思議なパワーをご覧下さい。水中映像協力:渋谷正信
著作者:green.tv japan
畠山重篤さん
1943年中国上海生まれ。県立気仙沼水産高校を卒業後、家業の牡蠣養殖業を継ぐ。
豊かな海を取り戻すために、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」運動を続ける。また子どもたちを養殖場に招き、環境教育のための体験学習を行っている。94年朝日森林文化賞、2000年第6回環境水俣賞、2004年第52回日本エッセイスト・クラブ賞などを受賞。
2009.08.30
海岸に生えていたコンブやワカメなどの海藻が減少して不毛の状態となり、代わりに石灰藻と呼ばれる、白く硬い殻のような海藻が、海底の岩の表面を覆いつくし、海藻を餌とする生物の減少が生態系全体に波及した状態、いわゆる"磯焼け"と呼ばれる現象が、日本の海岸に広がっています。
この原因として、温暖化による海水温上昇、ウニや魚による食害などが挙げられていますが、海水中の鉄分濃度の減少も有力な原因のひとつであることが明らかとなってきました。
森の土壌に含まれる鉄分は、酸化してすぐに水底に沈む酸化鉄ではなく、水中に溶けた状態でいられる腐植酸鉄として河川を通じて海域に供給され、植物プランクトンの生育に不可欠な成分ですが、森林の伐採や川の上流の開発などで、海への供給が衰えたと言われています。海の漁師たちは、鉄を含む森の栄養分の海への供給の重要さに気付き、「森は海の恋人」運動と呼ばれる植樹運動を全国各地で行っていますが、この効果が表れるには、何十年もかかります。
新日鉄は、腐植酸鉄を人工的に生成する施肥材料を開発し、約5年前から磯焼け海域での藻場造成効果を考察したところ、北海道から九州まで日本全国約15か所でその沿岸域に応じた海藻の回復が認められました。
施肥材料は、鉄をつくるときにできる副産物で鉄分を含有する鉄鋼スラグと、廃木材チップを発酵させて製造した人工腐植土とを混合したものです。この施肥材料を海域汀線部に埋設、もしくは施肥材料を充填した鋼製ボックスを、2004 年から北海道増毛町ほかの沿岸部海底に沈設しました。この実海域実験による海藻の生育状況などを毎年観察したところ、施肥した地区は対照区に比べて、著しい海藻の繁茂や稚魚の増大が観察され、少なくとも3年以上に亘り効果が維持されるとともに、藻場造成範囲の拡大が観察されました。
この鉄の副産物と人工腐植土を利用して、鉄分などの栄養分を補給し、砂漠化した海を豊かな海によみがえらせる「海の森づくり」は、CO2吸収による地球温暖化対策と生物多様性の保全に加え、食糧問題・エネルギー問題の解決策としても期待されています。
人間活動が原因で海の生態系のバランスが崩れようとしています。
その一方で、この海の自然を守り、海を豊かにするエコなテクノロジーが開発されています。
私たちが壊してしまったからこそ、私たちが取り戻さなくてはいけないのです。
こうしたエコな技術の開発を応援していきませんか?
茨城県出身。早稲田大学政治経済学部卒1980年新日本製鐵㈱入社。
釜石、東京本社、名古屋等5箇所の営業・環境等の業務を経て現職。環境リレーションズの企画・推進、「環境・社会報告書」の編集、技術移転によるCDMプロジェクトの推進等を担当。
NPO法人ものづくり生命文明機構常任幹事ものづくり生命文明協議会事務局長
国際日本文化研究センター共同研究員、環境法政策学会会員。自然の中の人間と文明のあり方について探求中。
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